ハヤシの視点「透明腰袋」1

さて、今回紹介するのは、当社の人気商品である「透明腰袋」の開発の話です。これは現在、自動車組み立て工場の塗装ラインで使用されている商品ですが、もっと幅広い分野での利用が可能な商品であると、私どもは考えております。

開発の経緯はこうです。
ある日、東北に拠点を持つある自動車メーカー様からゴムノイナキ株式会社様を通じて、腰から下げる小物入れ状の袋を開発してほしいというご依頼がありました。
その使用の目的は、たくさん在籍する作業者全員に1個ずつ支給し、各人がその中に個人的あるいは業務的に必要な様々な小物を入れて、作業場へ持ち込むための袋ということでした。
どうしてそのような袋が必要であるかと言えば、作業者のユニフォームにポケットがないからです。
ではなぜポケットがないかと言えば、ポケットを縫製で縫い付けると、ほつれたときに糸くずが出てしまい、それが製品である自動車の車体に付着して塗装が施されると、つまり、鋼材と塗料の間に糸くずが異物として挟み込まれてしまうと、糸くずがボディーに浮き上がりそれを除去することができず、その製品全部がNG製品となってしまうからです。
またポケットを持たないそのユニフォームも、糸くずの出ない構造の衣服のなっているとのことでした。

ですから、腰袋そのものも糸くずの出ない組成の材料で作られることが望ましく、お客様の方でPVC(塩化ビニル)による製作が指定されました。
これはご慧眼で、PVC(塩化ビニル)は個体でありながら結晶化されていない分子構造(液体のような分子構造)をもち、これがゆえに破壊される時の粉々に壊れにくいという特徴を持っています。
それを十全にご理解されたうえでのご指定でした。また、皺がつきにくく耐候性(温度変化や紫外線などに対して丈夫さの指標)に優れるのもPVC(塩化ビニル)の特徴です。

従って、PVC(塩化ビニル)に対する糸を使わない製法であれば、私どもの高周波ウェルダーによる作成が最適となるわけです。
更にご要望がございました。お客様では、他社で底部と壁面部の併せて5枚のパーツを箱状に組み上げる形状のものを既に作成されておりました。
しかし、この構造では、糸くずは出ないけれど、忙しく動き回る作業者が過酷な使い方をすると壁面の繋ぎ目に施した溶着部分から避けて破れてしまうので、裂けない構造で作って欲しいというご依頼でした。

ご依頼の内容をまとめると、
①塩化ビニルを用いて高周波ウェルダーによって作ること。
②決して裂けない構造であうこと。
でした。

今回はここまでとし、次回 この続き(ハヤシの視点による開発の話)をさせていただきます。