ハヤシの視点「かんばんケース」カスタム

今回紹介するのはPVC(塩化ビニル)でできたチャック袋で、かんばんケースのカスタム製品の話をしたいと思います。

かんばんケースとは、主に自動車産業・自動車部品産業の中で使用されている製品です。
このケースに「かんばん」と呼ばれるカードを袋部分の中に入れ、チャックで封を閉じ、工場内を出来上がってゆく製品と一緒に循環させ、しかもそれを、汚れたり破損したりするまで、繰り返し使用するという性質のものです。 
この「繰り返し」というキーワードが今回の開発のポイントになります。

 ある日、あるお客様から、「今使っている他社のかんばんケースはあっという間にクシャクシャになって使い捨て状態になり困っている」と、私どもの通常のかんばんケースをお求めいただきました。
しかし、すぐに「だめだ、一緒です」と言われました。

私どもは「クシャクシャ」という状態がなぜ発生するのかということについて、現地に伺いお客様の使用状況を観察・調査いたしました。
それでわかったのは、そのお客様ではとても強い油分が充満する環境下で、かんばんケースもその油分に接触させながら使用していることがわかりました。

ここからがハヤシの視点です。

かんばんケースは、家庭で使われているジッパー付き袋と同様に、チャック部分と本体部分で構成されておりますが、通常どちらも軟質PVC(塩化ビニル)が使われています。
本来PVCは硬い素材なのですが、そこに可塑剤と呼ばれる油を混ぜることで、軟質PVC特有のしなやかで軟らかい素材に変化させることができます。
しかしこの油が、お客様の工場環境下の強い油と反応し、本体部分にダメージを与えていることを私どもは見抜きました。
油同士で反応しているのなら片方の油を取り除き反応しないように工夫すればよい、そのための方法論はいろいろな方向から導けばよい(ハヤシの視点)。

そこで、同調の取り方の調整やスパークのコントロール、バリの押えなどに関し・・・・。
非常に難しい加工技術の研究が必要でしたが、本体部分を可塑剤という油が使用されいない薄い硬質の素材に変更したかんばんケースを開発し、お客様に提案申し上げたところ、「繰り返し」の使用に十分耐える良いかんばんケースができたと大好評で、すぐにご採用いただきました。
このように、私どもハヤシ商店では お客様の課題に真剣に向き合い、一つずつ解決しながら お客様にとって最適な製品づくりを行っております。
今回の試行錯誤のうえ開発した製品はそのお客様からの横展開もあり、広範囲に広がりを見せている製品になっております。