ハヤシの視点「透明腰袋」2
前回は、「腰袋」開発に関する経緯をお話ししました。今回はその具体的な取り組みのお話をしたいと思います。
お客様からのご依頼の内容は以下の2点に集約されます。
①塩化ビニルを用いて高周波ウェルダーによって作ること。
②決して裂けない構造であること。
引き裂き強度の値(丈夫さの指標)を示す材料の厚みの設定です。通常の厚物である0.5㎜厚を使用した場合、強度的な不安が残るというお客様からのご指摘により、0.8厚に設定しました。材料を厚くするほど加工はしにくくなるのですが、お客様のご要望に応えてゆくためにこの材料を使用し易くするための加工法を確立していきます。
次に、形状を決定しなければなりません。
ここで、ハヤシの視点が活かされます。
他の加工メーカーが作成した箱状の5面パーツによる構造は、立体面にパーツ同士の継ぎ目が合計4本入りますが、
この継ぎ目が悪さをします。溶着部分に沿って縦に裂けやすくなるのです。継ぎ目が悪さをするのなら継ぎ目のない構造の立体物を作ればよい。
継ぎ目のない構造 = 輪状の立体面を底面とジョイントすれば継ぎ目のない腰袋はできる。こうして、形状のおおよそは導くことができました。
さらに、詳細の決定です。付属するポケットの大きさや形状それに位置や数を決め、ベルト通しの大きさや形状を確立しなければなりません。
最後に強度の向上です。具体的に壊れやすいパーツに対する補強の理論的な検証やそれを導くための方法を確立する作業が行われ、ようやくこの商品が完成しました。
ここまでに、大きく分けて3回の改良、細かく分けると10回近い修正を行い、その度にサンプルを提出して本採用に至りました。
この商品には、糸くずが出ない、裂けないとう本来企図した効果の他に派生する効果も生まれました。それも、好評の要因になっています。
それは
①輪状であるため、開口部分が絶えず外側に応力を生じ、内側に倒れ込んでこない。そのため、手が入りやすく使いやすい。(箱状のものは重力により開口が内側へすぼむように倒れ込む。)
②透明であるため、外から内容物が確認でき、利用者本人だけではなく作業者同士の注意喚起を促すことができる。
以上が 「透明腰袋開発」に関する具体的な取り組みです。いかがでしたでしょうか?
この商品はどなたでも、共同で開発を行っていただいたゴムノイナキ株式会社豊田営業所様よりご購入いただけます。
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