ハヤシの視点「生産とチェックの合理化」

今回は「生産とチェックの合理化」をテーマに、商品開発におけるハヤシが大切にしていることについてお話をしたいと思います。

ハヤシは自動車産業・自動車部品産業をはじめとする各種工場内で使用される塩ビ製品の生産を得意としておりますが、
今回から数回にわたって、それ以外の分野、特に一般の消費者の方々が実際にご購入するもの、
または一般消費者の方々の目に触れ、手に取られることを目的とした商品の開発や生産性向上に関するお話です。

一般消費者向け製品と工場内製品の大きな違いは、機能と美観における留意点の違いです。

工場内製品の留意点は、作業性の快活さと強度です。開封性が抜群に良かったり、
過酷な環境や乱暴な扱いに対しても耐性を持っていたりと、各現場において個別化した特殊な機能性が求められることが多い。
美観もある程度は必要ですが、機能性の方が優先されます。

一方、一般消費者向け製品の場合は、機能性もさることながら、美観がとても大切な留意点となります。

機能性の方は不特定多数の人に平準化されたもので良くても、美観はひとつひとつの製品が細心の注意を払って美しく仕上がっていなければなりません。

しかし注意ばかりを行って生産に遅れが生じては何の意味もありません。

つまり美しい製品製造を合理的な生産の仕組みの中で解決するところに難しさがあります。

今回紹介するのは神社などで販売される護符(お守り)や木札を保護し、紐を通されて吊り下げに使われる小袋(お守り袋)です。
この製品の最大の特徴は、安価で仕上げなければならないという点。
高齢化や後継者不在による廃業業者に代わって、大昔から使われている製品を引き継ぐため、価格がとにかく安い。
もちろん、私たちは廃業する家内工業者の半世紀も前の価格で請けることはできないのですが、
さりとて現在の相場感の中では取引価格が上昇しすぎて、お客様が商売を成立させることができない。
そこで行わなければならないのが、工程の合理化と簡略化です。

ハヤシの視点です。合理化の方法は製品の形状によって変わります。
それは、一つは単純な形状の製品に対する1ウェルダー当たりの出来高を最大化する。
もう一つは複雑な形状の製品に対して工程を分業化し生産速度を高速化させる。
これらはどちらの手法も、時間当たり出来高を大きくするという意味で方向性は同じになります。

さらにチェック工程をどこで設けるかということが一つのポイントとなります。
製品単価によって独立したチェック工程を設けることができない。そこでハヤシでは複数の目によるチェックを行うという作業基準を確立しました。
各工程作業員が、作業と同時にチェックを行うというものです。これを行うことで不良流出率は目覚ましく改善しました。
これらの商品は、高周波ウェルダーによる型抜きや型押えなど前加工、穴あけやスナップ打ちなどの後加工、最終工程である包装作業で構成されており、
各工程内で発見した「危うきは捨てる」を徹底することで、お客様にご納得いただける製品の提供を実現しております。
実績としては、出荷数量 60,000枚に対し、不良とご指摘された製品は4枚でした。
ハヤシのチェック管理体制の成果ではないかと思っております。